飲食店が生き残っていくには、売上を上げ、しっかりと利益を確保していくことが重要です。
とはいえ、繁盛店がどれぐらいのコスト割合で成り立っているのかを見たことがない人がほとんどではないでしょうか?
そこで、千串屋総本店の実数字を記載したP/Lの一部を公開します。これを見ていただいた上で、どのように儲けを出せばいいのか、どのような工夫が必要なのかを感じていただければと思います。
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飲食店のリアルな経営数値公開!
以下が、千串屋渋谷店のリアルな数字です。
ここでは重要な数値のみをピックアップして紹介しますが、「P/Lの全数値を見たい!」という方は、お問い合わせいただければよろこんで公開します!
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ではさっそく、直近(2024年6月~2025年5月)のデータです。
| 年間 | 月平均 | |
| 売上 | 8,354万円 | 696万円 |
| 仕入れ | 2,093万円 | 174万円 |
| 人件費 | 2,401万円 | 200万円 |
| 営業利益 | 1,859万円 | 155万円 |
最近は食材の高騰により、原価率のコントロールに苦慮している飲食店が増えていますが、千串屋渋谷店の原価率は約25%に抑えています。これは適切なメニュー構成と商品価格の設定に加え、ムダとムラを徹底してなくした仕込みなどにより実現しています。
また、人件費高騰にも頭を痛めているところが多い中、渋谷店では約29%に抑えています。これも動線確保を正しく行った店舗設計はもちろん、マニュアルによる新人教育を徹底することで、最小限の人数で回せる営業を実現しているからこそ実現できる数字です。
仕入れや人件費については、他の店舗でも同じような結果を残しています。長期に渡って店舗経営を行っている店舗では、コロナ前よりも人件費や仕入れの数値が低く収まり、営業利益は上がっています。
飲食店を経営するからには、儲けをださなければ意味がありません。千串屋ライセンスグループは、この点に関しては妥協しない姿勢を貫いた結果、この現状に達していると考えています。
また、千串屋ライセンスグループでは、独自に店名をつけ、メニュー構成も自由に変更できる「フリーネーム」による加盟契約もあります。以下はその事例として出店した「こうめさん 五反田店」の実績数値(2024年6月~2025年5月)も紹介します。
【こうめさん 五反田店】
| 年間 | 月平均 | |
| 売上 | 13,086万円 | 1,091万円 |
| 仕入れ | 3,609万円 | 301万円 |
| 人件費 | 2,503万円 | 209万円 |
| 営業利益 | 4,299万円 | 358万円 |
こちらも詳細なP/Lをお渡ししていますので、お気軽にご相談ください。
飲食店が利益を増やすために必要な3つの要素
上記の結果は、さまざまな工夫と努力があって達成できたものです。特に、「いかにして利益を増やすのか?」という点に苦労されている方が多いと思います。
飲食店では主に、以下の3つが利益確保に必要だと言われています。また、私たちも以下を意識して行動してきました。
1.売上高を上げる=QSCを徹底する
2.固定費を下げる=光熱費や消耗品などの使い過ぎをなくす
3.変動費を下げる=仕込みや調理過程での廃棄ロス確認・スタッフシフト管理とシフトカットする
*QSCとは、商品クオリティー(Q)、スタッフのサービス(S)、クリンリネス(C)を表します。
これらはどれも、オーナーや店長の腕の見せ所であり、ちょっとした工夫で利益を増やすことも、逆に減らす結果にもなります。
では、それぞれを詳しく見ていきましょう。
飲食店が売上高を上げる方法
売上高は、以下の式で表すことができます。
売上高 = 客数 × 客単価
店内でQSCを徹底することは飲食店の基本です。ただし、それを徹底するのは一定レベルの満足を得ることにしかなりません。さらに満足を高めるには、さらに工夫が必要です。
そのひとつが「サービス品の提供」。これは、チェーン店では行っていないところが多く、お客様にとっても特別なサービスだと感じるため、客数の増加に直結します。
その時期ならではの旬の野菜などを使えば、仕入単価が高くなることもなく、それでいて季節感もあるためお客様にも喜ばれます。
ここでポイントとなるのは、普段家で食べられないものにすること。スーパーでは手に入りにくい食材を農家から直接仕入れるのが理想的ですが、スーパーに売っているような一般的な食材を使う場合でも、少し工夫して調理することで特別なメニューに仕上げることができます。「サービス品だから」と手を抜いたりせず、心を込めて仕上げることが大切です。

飲食店が固定費を下げる方法
飲食店では、無意識に営業をしていると、光熱費過多と消耗品費過多になるケースが多くみられます。たとえば、仕込み時間には無駄なライトを点灯しないとか、エアコンの調整、おしぼりや箸などの無駄使いを防止することなどで簡単に節約できます。
エアコンに関しては、適正温度に設定することはもちろん、営業時間中の排気ダクトのコントロールで効率を上げることが可能です。ひとつひとつは小さな節約ですが、あらゆる部分に配慮することで、利益確保につながります。
特に水道は水の出し方によって水量が変わりますし、出しっぱなしにする時間が長くなると当然水道料金が高くなります。皿や箸などを洗うときはもちろん、営業終了後に厨房機器を洗うときに、水を出しっぱなしにする習慣はなくしましょう。中でも、お湯を使う場合は、ガス代や電気代も連動して高くなりますので、特に注意が必要です。
ただし、食材の仕込みでは、衛生の観点から流水が基本となっているものもあります。これは例外事項として徹底することも欠かせません。
また、炭火焼き鳥店の場合、炭代も大きくなります。使用する炭の消耗は、最初の火の付け方や炭の組み方、投入する炭の量によって大きく変動します。
千串屋では、しっかりと炭を組んで酸素が入りにくい状態をつくり、不要な炭の投入をさけるための目安を徹底したところ、ひと月で2万円(約4箱分)も炭の消費量を減らせています。
飲食店が変動費を下げる方法

毎日の営業の中で変動費を下げるには、毎日の自店のF(Food cost=仕入高)とL(labor cost=人件費)値を把握する必要があります。そのためにも、毎日のレジ〆時には日計表に正しい数値を記入し、自店の利益ポジションを把握することが、第一段階の作業となります。
一般的に、飲食店におけるFL値の基準を示しておきます。
FL値51%=最良
FL値55%=通常値
FL値60%オーバー=危険数値
人時売上高の確保
「人時売上高」という言葉を正しく答えられるでしょうか?
この模範的な回答は、
「1日の売り上げに対して従業員の総労働時間から算出した売上高」です。
計算式は以下になります。
人時売上高 = 純売り上げ ÷ 総労働時間
適正金額は、概ね5,000円と言われています。
人時売上高は、金額が高ければ高いほど人件費を抑えられていることになります。ただし、飲食店においては、この人時売上高を上げることに注力しすぎると、大変な失敗をすることになります。この数字は、実に難しいものなのです。
例を挙げて説明したいと思います。
飲食店Aでは、1日に20万円の売り上げがあります。この売上げを上げるのに、4人で営業するのと、6人、8人で営業するのでは、必要な人件費が変わってきます。
1人当たりの勤務時間数によりますが、普通に考えれば8人より6人、6人より4人のほうが人件費は少なくなります。ここで人時売上高を少しでも高くしたいと考えれば、4人で営業することを選択してしまうでしょう。
ただし、実際の営業状況を見てみると、4人での営業ではあまりに余裕がなく、最低限の商品提供をするのがやっと。トイレのチェックなどには手が回らず、商品提供も遅れがち。追加オーダーをしたいとお客様が声をかけても、すぐに対応ができない状況になっています。
1日だけで考えれば、この日の人時売上高は高く、大きな利益を確保できたかもしれません。でも、その一方で、お客様の満足を得るのは難しい状況です。それでは、再利用していただくことは難しくなってしまいます。
逆に、8人で営業し、従業員1人当たりの仕事量を減らせば、サービスの質が向上し、料理やドリンクのスピード提供も可能になります。これはお客様の満足につながります。でも、その一方で、人件費が多く必要となり利益を圧迫します。この状況では店舗を存続させていくことは難しくなります。
では、6人が適正なのでしょうか?
適正な従業員数は店舗の状況によって違うと思いますが、人時売上高の確保とお客満足は表裏一体。アルバイトのシフトを作成するときには、総合的な視野を持つことが重要となります。
毎年、最低時給は上がりますが、近年はその上昇率も上がっており、人件費を抑えることに目を奪われる傾向にあります。人件費を抑えるために従業員に無理をさせ、お客様にも不満を与えるとならないような工夫が必要です。
たとえば、タブレットやモバイルオーダーを使って受注の時間を短縮するなど、できることはさまざまあるはずです。また、デジタル化には助成金が適用されるケースも多いので、検討してみることをおすすめしています。
原価管理

飲食店でいう「原価」とは、主に食材(ドリンクを含む原材料費)のことです。お客様に商品として提供されるものすべてに原価が存在し、一品ごとに細かく金額が設定されています。また、売上げのうち、どれくらいの割合を占めているのかを表すのが「原価率」です。
ここでポイントとなるのは、腐敗して廃棄せざるを得なくなったものや調理ミスでのロス、商品のオーバーポーション(レシピよりも過剰に盛り付けたりすること。例えばサラダ60gのところに80g盛り付けて提供するなど)も原価としてカウントされていくことです。
飲食店のおける原価率の基準値は30%と言われています。私たち、千串屋では22~29%に抑えることができます。ですが、どんなに高い売上げを確保していても、食材管理が甘くロスが多い状況では、原価率22~29%もちろん、30%も超えてしまいます。そのような状況では、利益が圧迫され、純利益額が下がってしまいます。
こうならないためには、アルバイトが作る商品のチェックや調理ミスを出さないための指導が重要であり、廃棄食材を極力減らすためには、綿密な売上げ予測に基づいた発注と仕込み量のコントロールも店長の重要な職務となるわけです。
ただし、原価を意識しすぎるあまり、間違ったコントロールをしようとする飲食店があります。それは、食品ロスをなくすために傷んだ食材を使用したり、レシピより食材を減らしたりすることです。これは客離れにつながり、売上げが落ち、利益も出なくなります。お客様第一であるはずの飲食店で、このような間違った原価コントロールはするべきではありません。
安全で良質な食材を使って、レシピ通りの料理を提供しながら原価率も守る。これは難しいことですが、店舗でできる経費コントロールの金額の大きいものの一つなので、特に重要な職務としてとらえておいてください。
その他の経費コントロール
営業を行うのに必要な経費として、食材(ドリンク)原価と人件費を挙げましたが、店舗には他にもいろいろな経費があります。これは、大まかに分けて2つのタイプの経費があることは前述の通りです。
売り上げに応じて変化する変動費、売り上げ等に左右されない固定費があり、食材原価と人件費は当然、変動費に属します。水道代やガス、電気料金等も水道光熱費として毎月変動していきます。他には、求人誌等を利用した時に発生する求人広告費、各種媒体を利用した広告に使用する広告宣伝費もあります。
固定費として主なものは地代家賃や減価償却費が挙げられます。
経費コントロールをするには、まず、これらの数値を正しく理解しなければなりません。行き当たりばったりで経費を使い、後で帳票類を見て驚いた…ということでは利益を生み出すことはできないのです。
まずは正しい把握がなければ話になりません。行き当たりばったりの対応では経営は成り立たないので最大の注意が必要と言えるでしょう。
繁盛店を維持・発展させるための「次なる3つの視点」
ここまで、P/L(損益計算書)の重要性と、利益を生み出すための基礎となる「売上・固定費・変動費」のコントロールについて解説してきました。 しかし、これらの方程式を頭で理解しているだけでは、店舗は変わりません。実際に店を動かすのは「人」であり、利益の源泉は「お客様の心理」にあるからです。
そこで最後に、私たちが常に心掛けている、数字を結果に変えるための「次なる3つの視点」をお伝えします。
視点1:スタッフを「コスト」ではなく「パートナー」にする教育
前述した「水道光熱費の削減」や「廃棄ロスの削減」は、オーナーや店長が一人で取り組むのには限界があります。なぜなら現場で蛇口をひねり、食材を扱うのはアルバイトを含むスタッフだからです。
彼らに「無駄遣いするな」と叱るだけでは、モチベーションを下げるだけで逆効果になりかねません。そこで重要なのは、「なぜコストを下げる必要があるのか」を共有することです。
例えば、「炭代を月2万円節約できれば、その分で新しいユニフォームが支給できる」「利益目標を達成したら、賄いのグレードを上げられるかもしれない」など、利益確保がスタッフ自身のメリットにも繋がる可能性があることを伝えることです。もちろん、「絶対にできる」と約束はできませんが、可能性を伝えるだけでも意識は変わってきます。
数字をブラックボックスにせず、P/Lの一部だけでもスタッフに共有し、「自分たちの工夫が利益に直結した」という成功体験を積ませる。これにより、スタッフは単なる労働力(コスト)から、一緒に店を良くするパートナーへと成長します。
人時売上高を高める究極の方法は、少人数で回すことではなく、全員が「経営者視点」を持って効率的に動けるチームを作ることなのです。
視点2:「粗利額」を最大化するメニューミックスの戦略
原価率の管理において、全てのメニューを一律の原価率に収めようとするのは間違いです。
繁盛店には必ず2種類のメニューが存在します。ひとつは、原価率が高くてもお客様を呼べる「集客商品」。先述したサービス品や季節商品などがこれに当たります。
そして、もう一つは、原価率を低く抑えてしっかりと利益を稼ぐ「収益商品」。例えば、ポテトサラダや漬物、ハイボールやサワーなどのドリンク類です。
お客様が「集客商品」で感動し、その満足感の中で「収益商品」を追加注文してくださることで、トータルの原価率は適正値(28%前後)に落ち着き、かつ粗利「額」は最大化されます。
重要なのは、お客様に「高い」と感じさせずに、自然と収益商品を注文したくなるメニュー構成やおすすめのトーク技術です。
「原価率」という率の管理だけでなく、最終的にいくら手元に残るかという「粗利額」の視点を持つことで、メニュー戦略はより強固になります。
視点3:デジタルとアナログを融合させた「再来店」の仕組み
P/Lを改善する一番の近道は、新規客を常連客に変えることです。新規集客には広告費がかかりますが、リピーターの集客コストはほぼゼロだからです。
現代においては、Googleマップ(MEO)対策やInstagramでの発信、LINE公式アカウントを活用した顧客管理など、デジタルの活用は避けて通れません。しかし、ツールを導入するだけでは不十分です。
デジタルで来店を促しつつ、店内では徹底したアナログな接客(名前を呼ぶ、好みを覚える、帰り際の見送り)で心を掴む。この両輪が回って初めて、安定した売上基盤が築かれます。
「QSCの徹底」で満足を与え、「デジタル」で再来店のきっかけを作り、「アナログな人間力」でファンにする。このサイクルを回し続けることこそが、10年、20年と続く繁盛店の条件と言えるでしょう。
そのために役立つのが、お客様アンケートや営業日報、過去や現在の店の状態を表すデータです。それらは、今後の店の売り上げを伸ばすためや、顧客満足度を上げるツールとして、多くの情報が詰まった資料です。
これらを有効に使用することができなければ、ただの数字や文字の羅列に過ぎません。有効活用するための読み取り方を身につけ、数値の面から店の状況を読めるよう努めてください。
最後に
公開した経営数値は、一朝一夕で作られたものではありません。日々の小さな「節約」、計算された「戦略」、そしてスタッフやお客様への「愛情」の積み重ねの結果です。
今回公開した数値やノウハウが、皆様の店舗経営の一助となり、飲食業界全体がより豊かになることを願っています。まずは今日の日計表を見直し、必要な経費の洗い出しからはじめてみてください。


