マニュアルはどの業界でも重要なものとされていますが、中でも飲食店での重要性は特別視されるレベルではないでしょうか。
なぜなら、アルバイトが店舗のオペレーションの多くを担っており、それ支えるのがマニュアルだからです。

もちろん、マニュアルと一口に言ってもさまざまなものがありますが、オペレーションに関しては、特に重要だと言う認識はみなさんお持ちでしょう。
そのため、アルバイトが行う部分の作業のマニュアルは、できるだけいつでも見られるようにすべきだと考えます。

そこで出てくるのが、電子化ということになります。ただし、重要なノウハウを教えるためにはセキュリティの面も考えなければなりません。そこで、弊社が行っている電子マニュアルを例にしながら、2者の両立を考えたいと思います。

 

マニュアルや教育関係に関する帳票類の書類武装について

マニュアルや教育関係に関する帳票類の書類武装

各種マニュアルは、オーナーの仕事のやり方をスタッフに伝える手段となります。ところが、実際の店舗では、以下のようなやりとりが見られます。

店長:「従業員が思うように動いてくれない」
従業員:「店長が小言の様に注意する」

特に新人の従業員からすると、自分が受けているトレーニングに理不尽さを感じているケースが多くあります。とくに、「教わっていないからできない」という気持ちが強くあるようです。

もちろん最後は、

「やって見せて、言って聞かせて、やらせて見て、ほめてやらねば、人は動かず」
(※山本五十六名言参照)

となるのですが、すべてがそれで対応できるわけではありません。

そこで、マニュアルを整備することによって新人社員やアルバイトが事前に仕事の流れをつかみ、その後、現場で詳細を教えるような教育スタイルにすれば、成長のスピードに大きな違いがでてきます。また、膨大な仕事を完璧にマスターするのは、どんなに優秀な人材でも難しいものです。マニュアルは事前教育だけでなく、確認作業にも役立つため、ぜひ完備していただきたいものです。

とはいえ、マニュアルを作成するのには、大きな負担がともないます。そこで弊社では、本部で各種マニュアルを作成し、PDF形式でお渡しするようにしています。また、従業員が誰でも気軽に見ることができるよう、スマーフォンやタブレットで見ることができる電子マニュアルも用意しています。もちろん、立場によってアクセス権限をコントロールできますので、余計な情報がもれるような心配はありません。

千串屋電子マニュアル

では、実際にどのような権限付けがされているのかをご紹介しましょう。

加盟店オーナー様用アカウントで見られる権限

  • 物件情報
    物件探し中には、物件の探し方や最新物件情報をお送りします。
  • 開業準備情報
    物件が決まってから、その後の動きについてのマニュアルが見られるようになります。
  • 調理関係
    研修開始時に、調理に関係する全マニュアルを見られるようになります。
  • 雇用と税金について
    全期間を通じ、関連マニュアルを見ることができます。

店舗設置用アカウントで見られる権限(従業員様やアルバイト様用)

※こちらの内容はオーナー用アカウントでも全て見ることが可能です。

  • 店内オペレーションマニュアル
  • 野菜仕込みマニュアル
  • 掃除マニュアル
  • 季節商品のご案内と提供について
  • 本部発注リスト
  • 焼鳥仕込みマニュアル

これらの各種マニュアルは随時更新しています。また季節商品などは、本部からの食材の提供が開始されると、見ることができるようになります。

 

マニュアルは常に更新されなければ意味がない

マニュアルが完璧な状態を保つためには、随時更新されていることが重要です。小規模な店舗ではマニュアル自体がない。もしくは、作成しても更新しないままなので古いという状態が多くなっています。そんな状態では誰もマニュアルを見ず、勘違いが修正される機会がなく、勝手なレシピも横行してしまいます。

各種マニュアルは随時更新

無印良品の「視察殺到!無印良品のマニュアルの中身」では、2000ページある現場マニュアルのうち、10%を1年で更新しており、「あらゆる業務はマニュアル化できる!」と記してあります。弊社でも、それに匹敵するマニュアル製作を目標に、日々改修をしています。それくらい重要視されるべきものなのです。

また、マニュアルの改訂には現場の声は欠かせません。そのため弊社では、各種マニュアルにコメントを入れられる機能を採用しています。随時、全加盟者様からの意見を確認し、マニュアルに反映させることで、共に成長していける体制を整えています。

飲食店の開業では、美味しい商品の提供だけでなく、さまざまなことを同時進行で進め実行しなければなりません。それをスピーディに実現するのはさまざまな創意工夫が必要です。マニュアルを作って満足するのではなく、現場の声をできるだけ吸い上げ、随時更新することが重要なのです。

 

スマホでもマニュアルを見られることの重要性

スマホでもマニュアルを見られることの重要性

今やアルバイトは、いつでもどこでも手放さないものがあります。それがスマホです。最近は携帯で支払いができる手段も増え、「とりあえずスマホさえ持って出れば1日を過ごせる」という人もいるほどです。

一方、マニュアルは極秘事項にしておきたいこともたくさんあります。それがノウハウになっているからです。そう考えると、ノウハウをアルバイトに公開するだけでもリスクと考える人がいるのは当然です。

しかし、その一方で、アルバイトにはなるべく早くオペレーション覚えてもらいたいのも事実。そのためには、暇な時にはいつでも確認できるものがあることは重要ではないでしょうか。

それを考えると、お店に行ったら見られるとか、専用のタブレットを使えば見られるということではなく、アルバイトのスマホにアプリをインストールすれば見られるようにしたり、どこかのサイトに行けば見られるという風にしたりすれば、自ら確認や復習をしてくれるでしょう。

また、最近増えている外国人を雇う場合も、重要な役割を果たします。彼らの中には稼ぐために来日している人も多く、愛想は悪くても、アルバイトを快適に長く続けたいと思っています。そのため、お店の役に立つ人材となるため勉強するのに一生懸命。日本語をスピーディに理解するのが不自由な分、暇な時間に復習したいと思っています。

 

ノウハウにはレベルがある

ノウハウにはランクがある

改めてノウハウ(情報)について考えて見ると、ランクがあることがおわかりいただけるでしょう。オーナーだけが知っておくべきものや社員が知っておくべきものもあれば、アルバイトを含めた全員が知っておくべきものもあるでしょう。そうであるなら、ランキングによって閲覧制限をつけて、アルバイトには、アルバイトが見ても問題ないものだけに限定して見せるという方法があります。

今の時代、やり方は色々あります。オペレーションを一刻も早く覚えてもらうためにも、アルバイトが必要な情報のマニュアルの電子化は、早急に取り込まなければならないことのひとつと言えます。

ちなみに、大手の飲食チェーンでも、マニュアルの電子化に取り込んでいないところが多くあります。その本当の理由は、マニュアルを電子化することの重要性を理解していないことと、手間暇を惜しんでいるからです。

実際、私たちはマニュアルを電子化し、アルバイトでも必要な情報はいつでも見られるようにしています。ですが、最初に電子化したときの労力は相当なものでした。さらに、現在でも新しい商品情報が入れば追加し、違うやり方があれば差し替えるという作業があり、はっきり申し上げて、相当大変な作業量です。本部の中に、この労力を嫌ってマニュアル化しないというのも納得ができます。

しかし、そんなことでは、アルバイトの流動性が高いこの時代に、正しい知識をもってお客様に商品提供をすることは不可能。そこで、電子化マニュアルの整備を懸命に勧めているわけです。

 

電子化マニュアルの実際

ではここから、私たちが使っている電子マニュアルがどんなものなのかを説明したいと思います。

1.ログインとアカウントについて

ログインは、大きく分けて2つのパターンに分けています。ひとつはオーナー様で、もうひとつはアルバイト用です。

オーナーアカウントでは、すべてのマニュアルが閲覧できます(ただし、物件関係フォルダや開業業務フォルダは、開店後、閲覧不可となります)。

アルバイト用アカウントでは、雇用や税務、もっとも重要だと考えている焼き鳥の焼き方などは閲覧不可となっています。焼き鳥の焼き方マニュアルを閲覧するには、手続きが必要です。

2.ログインパスワードについて

最初、メールアドレスをIDとしてグループに招待され、仮のログインパスワードでマニュアルサイトが公開となります。このパスワードは登録後、任意の文字列に変更することが可能です。

また、マニュアルの情報流出を防ぐために、定期的(半年に一度)、パスワードの変更が強制的に行われます。パスワード変更はキャリアメールに自動送信され、ログイン時に新しいパスワードを入れてログインする仕組み。ログインは、英数半角大文字小文字が区別され、8文字以上16文字以下となっています。このログインパスワードの変更があることで、例えば無断で辞めてしまったアルバイトがいつまでもログインできる状況を防ぐことができます。

3.マニュアルの見方

マニュアル2

マニュアルは階層ごとに一覧表示できるため、見たいマニュアルにスピーディにたどり着けます。また、マニュアルの一覧は、店舗で並び順を変更するできるため、非常に便利。マニュアルは本部から一括で制作して配信するため、自店では使用しないものもあります。それは、後ろに回すことで、各店舗のニーズにあわせた作りに変更できるということです。

4.更新は随時、自動的になされる

マニュアル3

マニュアルの更新は本部で一括して行います。ですので、各店で何かをやるということはありません。新商品や季節メニュー、新しいドリンクなどの情報も配信されます。
マニュアルが更新されれば、アプリのプッシュ通知と登録メールアドレス宛に更新が通知されます。

5.本部発注も同じアプリで行える

また、マニュアルと合わせて本部発注も同じアプリで行えます。今はいろいろなアプリがスマホに入っていて、非常に煩雑になりがちです。アプリを最小にして利便性を高めるという工夫も必要だと考えています。

いかがだったでしょうか?
電子化マニュアルは労力が必要ですが、アルバイトの成長スピードを高める重要なもののひとつです。セキュリティの部分は二重三重で守りながら、ぜひ早急に取り組んでみてください。