飲食店にとって、メニューは最も重要な個性を発揮するものであり、儲けを作り出すものです。どんなに立地がよい場所にお店を作っても、このメニュー作りと価格設定にミスがあては、儲けを生み出すことができず、息の長い商売をすることはできません。
メニュー作りにはいくつかのノウハウがありますが、ここではあえて、契約のタイプにわけ、加盟店契約とフリーネーム契約でオープンする場合の自由度の違いについて説明したいと思います。
価格勝負の店にしてはいけない
飲食店にとってのメニューづくりには、いろいろな方法があります。
個人店で一番やってはいけないのが、安売りで勝負する店になること。いかに安いかで打ち出す大型チェーン店もありますが、これは大量に仕入れを行うため原材料が安くなり、その価格パワーを使ってメニューを安くしていきます。つまり、「どうしてこんなに安く出せるのか?」という価格でも、原価自体もそれだけ低くなっているので、しっかりと儲けを出せているのです。
また、個人レベルのお店でも、非常に安くて高品質な商品を提供している場合もあります。これは自己物件で家賃がなく薄利でも店舗が成り立つケースがあります。また、焼き鳥屋の場合、本業が鶏肉店や肉の卸しをやっていて、非常に安く原材料を仕入れられるというケースもあります。
そんなところと価格勝負をすれば、あっという間に負けてしまいます。つまり、価格で勝負してはいけないのです。
ファンが思わず通いたくなるメニューを作れ!
では、どのような商品作りをすればよいのでしょうか?
それは、安売りでなく商品にこだわりを持ち、価格競争をしなくてもファンがついてくるメニューを開発するのです。原価は適正に管理され、商品が売れれば適正な儲けが出てくる。これであれば客数をある程度キープすれば、儲けはしっかりと確保されます。個人店ではこういったお店を目指すべきであり、そのためにメニュー作り、そして価格付けをしていくべきです。
少し愚痴になりますが、飲食店コンサルタントなどの中には原価率を重視する人がいます。「原価を30%に収めれば儲けは出せる」などと言い、何を差し置いても数字優先の人がいるのです。
しかし、焼き鳥で例えるなら一本50円で売っている商品なのか、200円で売っている商品なのかが違えば商環境も変わってくるわけで、それを一概に30%なら良いというのは非常にキケンです。
もちろん原価も大切ですが、それだけでなく、どれぐらいのレベルの商品をどう打ち出して行くのかというのが非常に重要であり、そこには実際にお店を作り、成功事例を作ってきた実績と生きたノウハウが必要です。その意味では、コンサルタントは机上の空論なことが多く、実際に自分がお店作りをして成功したことがない(または経験が少ない)人が多いのです。ぜひ、アドバイスを求めるなら、成功事例を持っている人にするべきだと思います。
加盟店ライセンス契約の違い
さてここでは、加盟店になった場合とフリーネームで開店した場合の違いを比較します。この違いがどれぐらいあるのかを理解すれば、飲食店において成功する商品作りがどのようなものかがお分かりいただけるのではないかと思います。
ちなみに、加盟店とは説明するまでもなく、統一した商品を統一した雰囲気の中で提供するタイプの契約です。看板も同じであり、お客様はどこに行っても同じものを求めて来店します。
一方、フリーネームとは、店名や看板は自分で決めることができます。また、商品もオリジナリティを出すことができます。ただし、なんでもかんでも最初から好きなようにできるのかと言うと、決してそうではありません。なぜなら、初めて飲食店をやる場合、正しい儲けの出し方を把握できていない段階で自由にやったのでは、うまくいくはずがないからです。また、新たにリニューアルをしようと思った時も、基本がなければ正しい判断ができず、結局、自分の首を絞めることになりかねません。
そのため、私たちがプロデュースする飲食店においては、フリーネーム契約であっても、最初の6ヶ月はメニューに制約を持たせています。なぜ6ヶ月かと言えば、一番大切な時期に失客を起こさないためです。
加盟店になられる方は、初めての飲食店経営という方が多いでしょう。あまりにも商品数が多かったり、難しい商品だったりするとオペレーションが崩れ、商品提供が遅くなってしまいます。また、仕込みが雑になってしまい、満足な品質が保てないこともあります。オープン直後の6ヶ月は、多くのお客様が来店される大切な時期。このタイミングにいい加減な商品を出していると、信頼を失ってしまいます。そのため、千串屋のメニューと同等の商品を提供してもらっているのです。実際、この制約があるという状況が非常に良い結末につながっています。
加盟店のメニュー戦略は、統一感にある
まずは加盟店のメニューについてです。これは締結したライセンス契約によって決まっています。メニューは、以下のようになっています。
- 焼き鳥グランドメニュー
- 一品グランドメニュー
- 季節おススメメニュー
- ドリンクグランドメニュー
これを使用するのが基本となります。
グランドメニュー
おすすめメニュー
店内おすすめ展示用
ドリンクメニュー
メニュー内容
① 焼き鳥グランドメニュー
基本的に本部指定のものを使用しなければなりませんが、一定期間が経った後は、5品目以内であれば顧客への提供を中止したり、追加することができます。
② 一品グランドメニュー
焼き鳥グランドメニューと同様に、一定期間は、本部指定の一品グランドメニューを使用しなければなりません。一定期間が経った後は、加盟店の裁量で一品グランドメニューの商品を決定できます。ただし、一品グランドメニューの品目数が焼き鳥グランドメニューの品目数を上回ることはできません。
③ 季節おススメメニュー
加盟店の裁量で自由に商品の追加及び削除ができます。ただし、本部が指定する季節おすすめ商品は、必ず加えなければなりません。
④ドリンクグランドメニュー
加盟店は、本部指定のドリンクグランドメニューを使用しなければならず、加盟店の裁量で提供の中止をすることはできません。ただし、一定数以内であればメニューに追加することができます。
フリーネーム契約の場合、メニュー構成は自由度が高まる
続いては、フリーネーム契約の方です。
こちらは前述したとおり、店名及びメニューは自分のオリジナリティを発揮することがます。ただし、店舗運営のノウハウを知らない形で自由にやってしまうと、むやみに価格競争に入ってしまい自分の首を自分でしめることになります。それは私たちのノウハウには合いませんし、皆さんの理想にもなっていないはずです。
そこで、開店から6ヶ月間は、ある程度の制約を持った中で行っていただきます。この期間を通じオーナー様は、どのような商品を出し、いくらぐらいの儲けをえられれば店舗運営が健全に行われるのかを知ることができます。また、お客様もそのお店に行けばどのようなものが食べられるのかということが分かり、お店の期待感が高まります。これにより6か月後以降のお店が安定するというわけです。
メニューは、以下の構成になっています。
- 焼き鳥グランドメニュー
- 一品グランドメニュー
- 季節おススメメニュー
- ドリンクグランドメニュー
メニュー内容
①焼き鳥グランドメニュー
店舗開店日から6ヵ月間は本部指定のものを使用しなければならなりません。ただし、一部は店舗裁量で追加や削除ができます。
店舗開店から6ヵ月以降については、本部が予め焼き鳥グランドメニューに記載した商品の内、一定数以上の商品をメニューに入れていれば、加盟店の裁量で範囲で商品を追加することができます。
②一品グランドメニュー
焼き鳥グランドメニューと同様に、店舗開店日から6ヵ月間は、本部指定の一品グランドメニューを使用します。ただし、一部は店舗裁量で追加や削除ができます。
店舗開店から6ヵ月以降については、加盟店の裁量で一品グランドメニューの商品を決定できます。
③季節おススメメニュー
加盟店の裁量で自由に商品の追加及び削除ができます。
④ドリンクグランドメニュー
店舗開店日から6ヵ月間は本部指定のドリンクグランドメニューを使用しなければなりません。ただし、一定数を追加することができます。
開店日から6ヵ月以降については、加盟店の裁量でドリンクグランドメニューの商品を決定できます。ただし、本部が指定した商品(協賛メニュー)については販売をお願いします。
いかがでしたでしょうか。
加盟店と言うと、本部が言うことはすべて聞かなければならないという印象をもっていた方も多いかと思いますが、フリーライセンスでは、そのようなことはありません。しかし、しっかりとしたノウハウの中でやっていけるということが、おわかりいただけたのではないでしょうか。
目指したいお店はいろいろあると思いますが、メニュー作りは最も大切な部分のひとつ。ぜひ参考にしていただき、多くの方が成功していく条件作りのお役立てただければと思います。