焼き鳥屋は近年、特に注目を浴びる業種となりました。しかし、「焼鳥屋だから内外装にはこだわらなくてもよい」という考えでは、人気店になることはできません。
しっかりと儲けを出す焼鳥屋には、必ず“内外装の戦略”があります。千串屋も、外観・内観にこだわり、他店にはないインパクトを武器にファンを増やしてきました。本記事では、その秘密と実例を、近年の飲食トレンドを交えて解説します。
Contents
勝てる焼鳥屋の特徴は「え?ここ焼鳥屋?」と驚かせる外観・内装

戦後に爆発的に増えた焼鳥屋は、のれんに赤ちょうちん、カウンターとテーブルさえあれば集客ができる時代がありました。現在でも、同じような焼鳥屋は街にあふれています。ただし、昭和スタイルだけで勝つことは、ほぼ不可能です。
また、昨今の外食では女性客・カップル・インバウンド客が増えており、「清潔感」と「世界観」は日本の店舗の必須条件になりました。
特に近年は、訪日外国人がSNSで写真や動画を投稿し、それを見た別の旅行者が来店する――そんな連鎖的な集客が多発しています。つまり、お店の外観・内装そのものが“広告”の役割を果たしているのです。
また、昨今の居酒屋業界では、女性客やカップルの集客も考慮していかなくてはなりません。そのためには、清潔感も求められる時代になっています。これは焼鳥屋も例外ではありません。
「おっ!!何だここは?!」と思わせる外装や、「ここ焼鳥屋?!」と言われるような内装は欠かせない要素となっているのです。もちろん、これにオリジナリティの高い商品を提供することとの相乗効果で、やっと固定客の獲得に繋がります。
焼鳥屋が内外装にこだわるべき理由|目的客・リピーターを増やす設計
さて、内外装にこだわらなければならない理由はなんなのでしょうか?
誤解している方も多いようですが、焼鳥屋は立地がすべてではありません。目的客にいかに多く来てもらうかが勝負になるのです。
お客様には、目的客と流動客があることをコチラの記事で説明しました。
二等立地、三等立地では、流動客(回遊層)と言われる、
「通りがかりに、たまたま店を見つけたので入ってみた」
というお客様の獲得はありえません。
これが、千串屋が狙ってきた立地と客層なのです。流動客への期待ができない分、重要な戦略として狙うのが目的客であり、その客層を呼び込む店作りをしなければならないのです。
- 「あの店に行ってみよう」
- 「あの外観のお店、一度は入ってみたい」
- 「SNSで見た、あの店が面白そう」
外装や内装にこだわることで、“初回来店のきっかけ”を生み、世界観ある内装によって心をつかむことで、2回目・3回目へとリピートへと繋げるのです。
そのためには、インパクトがある外装で店に興味を持っていただくことが重要です。
ところが、インパクトある店舗を作るには費用が必要となります。スケルトン状態の物件から店舗を作ったのでは費用はいくらあっても足りません。そこで、居抜き物件を活用し、内装費用を抑える分、外装に資金を投入し、「新しいお店ができた」と周知させることが重要となるのです。
居抜き物件で開業して内装コストを抑え、外装に予算投入する戦略

インパクトある店を作るには費用が必要――そう思われがちですが、実は違います。
確かにスケルトン状態の物件からの出店は莫大な内装費がかかります。でも、千串屋が成功してきたのは、居抜き物件を徹底的に活用し、内装費を抑え、その分を外装のインパクトに投資したからです。
実際、1号店「千串屋 初台店」は二等立地で、造作70万円で買い取りスタートしました。
ただし、コストカットだけに注目してしまうと失敗します。閉店した店舗をそのまま使うのではなく、「なぜ閉店したのか?」を分析し、弱点を改善しながら再生します。ここが、プロの腕の見せ所です。
居抜き物件は個性を出せないと思っているとしたら大間違いです。デザインの雰囲気があわないところは変更し、それでいてコストは控えめに。近年の居抜き相場は人気エリアほど高騰していますが、イチから店舗を作ることを考えれば、ずっと安価になります。 “少ない投資で最大の印象を生むデザイン力”の価値がさらに上がっているのです。
低コストでも“インパクトのある店舗”を作るデザイン技術
最近は、少ない費用でも話題性を生むテクニックがあります。例を挙げてみます。
- トイレの壁一面にペーパーホルダー → SNSで拡散
- エントランスにデジタルサイネージ → 串が焼ける映像で目を奪う
- プロジェクションで壁に炭火の炎を演出
- 足場板や古材を再利用 → コストカット+温かい雰囲気+SDGs
特にSDGsの観点から、再生木材や国産材を使った内装は好印象を生みます。ただし、木材は価格が高騰していますので、この意味でも居抜きは有利です。
また、 “背景ストーリーがある店舗”はSNSで語られ、口コミ拡散につながります。
女性客・カップルを取りたいなら「トイレは店の第二の顔」
飲食の口コミで最も差が出やすいのが「清潔感」です。
- 座席の距離が狭い
- 匂いがこもっている
- トイレが古い
これだけで、リピート率は確実に下がります。
逆に、トイレが綺麗な店は
✔ 女性が友人を連れてくる
✔ カップルがデートで使う
✔ SNSで「この店、居心地良い!」と紹介
これらが売上に直結することはおわかりですよね?
焼鳥屋の店舗デザインは“プロ”が作ると売上が変わる
デザインとは、「その場所の環境やマーケット、集客したい客層、運営する店舗のスタイル」など様々な要素を総合的に考慮して行わなければなりません。そこには、最先端の技術や現代の新しい風潮などが織り込まれ、「目新しさ=インパクト=集客につながる!」という役割が必要です。
そのためにデザイナーは、常に世間にアンテナを張りながら、新しい形を生み出す発想力が必要です。
ではここから、実例を元にデザインの違いを見ていきましょう。
デザインによる印象の違い
①入り口は明るいが、上の名札が安さを出しすぎてしまう例

②洋風感を前面に出した例。出店エリアが若めの客層であればOK

③上部は明るいが、入口下部が暗い例

同じ焼鳥屋でも、随分と印象が違うことがお分かりいただけたと思います。
千串屋では有名美術大学を卒業し、内装デザイン専門に10年以上の実績を積んできた騎西なデザイナーを雇用しています。そして、全国どこにでも出向き、その立地にあったデザインを起こすのです。そこまでしたからこそ、加盟店を含むオープン店舗のほとんどが繁盛店として長く営業を続けられているのです。
同じ焼鳥屋でも、外観だけで印象は劇的に変わります。
- 若い街では洋風に寄せる
- ビジネス街では落ち着いた和モダン
- 住宅街では温かいライティングと木目主体
「どこで・誰に・どんな価値を提供するか」で勝てるデザインは変わります。
内外装は最初に1回しか行うことができません。それが、その後のお店運営に大きく作用します。たった一度の作業に勝負がかかっているからこそ、内外装に対して時間と予算取りをしっかりと行い、「どこにでもある・・・、ありきたりな・・・」などという、つまらないお店ではなく、お客様や知人にも驚かれる内外装を作り上げてください。
世界観のある焼鳥屋が選ばれる時代へ|メニュー・盛り付け・BGMまで統一
現代の人気店は、店全体のストーリーを統一しています。
外装 → 内装 → メニュー → 盛り付け → BGM → 接客
この“世界観の一貫性”がある店舗は、写真が拡散し、目的客が増えます。
まとめ:焼鳥屋は内外装で“たった一度の勝負”。オープン時のデザインが未来を決める
内外装は、オープン前の一度しか設計できません。
その一度が、お店の未来を左右します。
ありきたりな焼鳥屋では、もう勝負できません。
「え?ここ焼鳥屋?」と驚かれ、誰かに紹介したくなる店舗だけが生き残ります。オリジナリティの高い商品と、世界観のある内外装が掛け合わさることで、はじめて“固定客がつく店”になるのです。デザインには気合いを入れてください。


