飲食店に限らず、店舗には「店長」という存在が欠かせません。
店長が示す意味は、その字のごとく、「店」の「長」となるわけですから、仕事の責務は、いわゆるオペレーションを担うだけではなく、マネジメントを行うことが他の役職と大いに違うところでしょう。
ここでは、店長の役割と求められる資質について考えていきたいと思います。

 

店長とは、店舗の管理者である

小さな飲食店を経営する場合、オーナー自らが店長として店に立つケースもあれば、店長を雇い入れて運営を任せるケースもあるでしょう。ここで取り上げるのは、その両者を含めた管理者のことです。

もちろん、店長を雇い入れていれば、オーナーは必要以上に店舗運営に口出しすべきではないという考えもありますが、だからといって、「店長に任せっきりで何も知らない」のでは問題が起こったときの対処ができません。また、どういった人を店長にし、何を求めていけばいいのかを把握するためにも、店長の役割や職責を知っておくのは重要なことです。ぜひ、ここに書かれたことを読み、店長として必要な人材確保に役立ててください。

 

店長の役割とは

店長の役割とは

店長には、2つの側面が求められます。
それが、「資質(リーダーシップ)」と「職務(マネジメント)」です。これは自転車の両輪のようなもので、どちらかが優秀でも片方がまったくダメなのでは、結果的に前に進むことができません。

しかも、店長が転倒してしまうと店舗全体が不安定になったり、一緒に転倒してしまったりするので注意が必要です。もちろん、得意なことと不得意なことがあるでしょう。最初から両方をバランスよく・・・というのは難しいと感じることもあるかもしれません。それでも、店長の役割を果たすには、苦手な方も一定のレベルに向上させる必要があります。
「得意な面が秀でているから、苦手なことはしなくてもいい」という言い訳が通用しないのが店長なのです。

一刻も早くバランスのよい運転ができるよう努力してください。

 

店長はどうあるべきか? 店長に必要な資質はリーダーシップ

店長に必要な資質

店長として働く上で身につけておかなければならない最重要な資質は「リーダーシップ」です。スタッフをとりまとめ、売上げを向上させ、利益を確保しなければならないわけですから、リーダーシップがなければなりません。

では、具体的にどのようなものでしょうか?
以下に列挙してみます。

  • 経営理念の理解
  • スタッフ教育の重要性を認識している
  • ポジティブである
  • 高い達成意欲を持っている
  • 店に対して愛着を持っている
  • まじめ・誠実である
  • 感謝の気持ちがある
  • 組織の崩れを見逃さない
  • コミュニケーション能力
  • 店舗の理想像を明確に持っている
  • 行動力がある
  • モチベート能力がある
  • 時間厳守
  • 仕事にプライドを持っている
  • 他人の気持ちを察することができる
  • 部下に尊敬されている
  • 組織をまとめることができる
  • 感情のコントロールができる

自分自身の内面的なことはもちろん、周りの人とのコミュニケーションに関わることや、それによって得られる評価まで、実にさまざまなことが含まれます。
すべてが完璧な人はいないのかもしれませんが、苦手な部分は一刻も早く克服できるようにし、得意なことはさらに伸ばすようにてください。

 

リーダーシップの2つの形

リーダーシップと聞くと、皆の先頭に立って進むべき道を示す役割を思い浮かべるかもしれません。こうなると、「私には無理」と感じる人もでてくるでしょう。しかし、リーダーシップには2つのタイプがあり、飲食店の店長はどちらでもよいと言われています。

ひとつは、先頭するタイプ。いかにもリーダーという存在で、力強さと明確なビジョンを示すことで従業員をひとつにまとめ、動かしていきます。

もうひとつは、あえて先頭に立たず、全体を見守りながらバックアップをしていくタイプです。もちろん、間違った方向に進んでしまったり、何かが起こったりしたときには責任を取らなければなりませんが、そうならないために情報を正しく伝えて、一丸となれるような環境を作っていきます。一見するとリーダー不在のように感じられたり、別のリーダーが存在するかのように見えることもありますが、決して表に立たず、それでも後ろからしっかりとサポートしてくれる存在となります。

店長になったからといって、ムリに先頭に立つ必要はありません。結果的に、店全体が目標達成に向けて動くことが何よりも重要です。まずは、店長がどちらのタイプなのかを冷静に判断し、それを極めていくことが大切だと言えるでしょう。

 

店長の職務

店長の職務

次に、店長の職務について見ていきましょう。店長が担うべき職務には「マネジメント」が含まれます。店長自身がワーカーとなって仕事をこなすだけでなく、他の人を含め、管理することが必要になってくるのです。

以下の、その職務をまとめてみました。

  1. 全オペレーションの把握
  2. 的確な指示出し
  3. 営業上の問題点の発見・解決
  4. ルールの徹底
  5. 商品クオリティーの維持
  6. ワークスケジュールの立案
  7. 人時売上高の確保
  8. 原価管
  9. 経費コントロール
  10. 経営数値などの把握
  11. 売り上げアップの手法を知っている
  12. 教育計画の立案
  13. スタッフ教育
  14. アルバイトミーティングの定期開催
  15. アルバイトの考課
  16. クレンリネスの徹底
  17. クレーム対応
  18. 報告書の期限内提出

オペレーション以外のものが多いことが分かると思います。飲食店においては、「どんなに忙しい時間でも、彼にオペレーションを任せれば安心」と言われていた人が、店長に抜擢された途端に頼りない存在になってしまうことがあります。これは、オペレーションスキルがあっても、店長としてのマネジメントスキルがないからに他なりません。

つまり、店長の仕事は、オペレーションはできて当然のもの。それ以上にマネジメントを行わなければならず、その二つはまったく違うものであることを理解しておくべきでしょう。