飲食店で店長が行うべきことのひとつに、人事管理があります。飲食店で行われるサービスは人によって行われ、人がいなければよりよいサービスの提供はできません。
ここでは、アルバイトの採用から教育までを考えて行きます。

 

リクルートの流れ

まずは、店舗が求める人物像を明確にし、それにそった人物像を求め、面接・採用を行います。採用後には、雇用条件・業務内容を確認します。トラブルの原因になりますので、最初にしっかりと確認をしておきましょう。

採用後は、担当業務に合わせて教育を行います。このとき、教育担当者を明確に決めたうえで、各マニュアルに従い教育を進めていきます。

求める人物像とは

面接は短時間で行うものです。その時間で人物像を明らかにするのは簡単ではありません。ですが、条件面だけを確認したのでは、理想の店づくりには遠くなってしまします。

まずは、求める人物像を明確にし、それに沿ってるかを判断するようにしてください。

【飲食店で求める人物像】
・正しい倫理観を持ち、明るく・元気よく・素直に・感謝の気持ちで人のために尽くせる優しさがあること
・人に「喜び」を提供することが、自らの「喜び」につながる人
・自らの成長のために、積極的に挑戦し続ける人

面接時のチェックポイントとは

面接時のチェックポイントとは

  • 目をしっかりと合わせることができ、笑顔がよくでること
  • 質問に対して、受け答えがしっかりとしていること
  • 素直さがあること
  • 成長していこうとする意欲があること など

採用に際し、確認しておくべきこと

アルバイトとして採用する際には、店側の準備も必要です。気持ちよく働きだせることが、好印象につながり、長く働くことにつながります。そのために、初出勤の前までにしっかりと必要なものをそろえておきましょう。

【採用にあたり、店側が準備すべきこと】
・雇用契約書の整備
・面談での決定事項(役割・出勤曜日など)の最終決定
・ユニフォームや名札、ロッカーの準備
・スタッフ配置の決定

出勤曜日については、認識に差が出やすいところです。例えば学生の場合、「試験前は休ませてくれて当然、長期休暇は帰省するからアルバイトはできない」と考えている人が多くいます。一方、店長は「週3日勤務」と言われ、そのまま人員計画を立ててしまうため、後でもめることになるのです。これを防ぐためには、面接時にどのような認識を持っているのかについても確認しておくことが必要です。

 

アルバイト教育の重要なポイント

アルバイト教育の重要なポイント

社員やアルバイトを教育することは、店長の重要な業務のひとつ。また、人時売上高の確保や原価管理は、店長一人だけで目標を達成することはできません。店長業務は非常に多岐に渡るため、信頼できるパートナーとしての社員、アルバイト教育が重要となるのです。

少しでも早く仕事を覚えてもらうには、アルバイト教育を行き当たりばったりで行ってはいけません。お客にとっては、店長もアルバイトも関係ないのです。計画的な教育を行えるようしっかりとした方針を打ち出し、トレーニング担当者に共有しておく必要があります。

教育計画の立案と共有

アルバイト教育では、何の目的もなくただ目についたことを教えていたのでは、能力はなかなか向上しません。その人に合った教え方を考え、具体的な計画を立ててから実行するようにします。

また、トレーニングは店長のみが行うわけではありません。そのため、トレーニング計画が決まったら、教育担当者で共有しておきます。店舗の本当の実力は、店長が不在のときに出ます。安心して休みを取れるような環境を、自らの手で作っていくようにしてください。

スタッフ教育は早めに取りかかるのが基本

教育計画を立てた後は、もちろん実行しなければ意味がありませんが、トレーニングは必ずしも店長が行う必要はありません。ポジションによってはベテランアルバイトが教えてもかまわないのです。そのため、教育計画では、「誰が、いつ、どこまで教育する」という計画を立てるわけです。

例えば、現在レジを担当しているスタッフが翌月末で退職するといった場合、その後のレジ係を教育するのは、退職してからではなく、そのスタッフがいる間に行わなければなりません。いなくなってから慌てて育てても、人が成長するのには時間がかかります。その時間をあらかじめ考えておかなければならないわけです。スタッフの教育は前倒しし、余裕がある状態で行うのが理想的です。

もちろん、アルバイトの教育だけでなく、社員の教育にも力を入れてください。次の店長を作ることも店長の重要な職務の一つです。今まで、培った知識や技術を惜しみなく教えてあげることで、共に働く社員の能力を伸ばすことができれば、店長の評価に繋がります。そして、店長自身も次のステージを開拓できるようになるわけです。店の中で、よい意味で「楽」をするためにもスタッフ教育は欠かせないことのひとつと認識しておいてください。

OJT(現場教育)における指導の4ステップ

教育計画を実行する際、現場での指導(OJT)には効果的な手順があります。それが「やってみせる」「説明する」「やらせてみる」「確認・評価する」の4ステップです。

多くの現場でありがちな失敗は、説明だけで終わらせたり、いきなりやらせて失敗させたりすることです。まずは手本を見せ、なぜそうするのか理由を伝え、実際に体験させ、最後にフィードバックを行う。この手順を踏むことで、スタッフは迷いなく業務を習得できます。

モチベーションを維持するフィードバックの技術

教育中は、スタッフのモチベーションを下げない工夫も必要です。新しいことを覚えるときは誰でも不安を感じます。そこで意識したいのが「サンドイッチ話法」です。これは、指導したい内容(改善点)を、ポジティブな言葉(褒め言葉)で挟むテクニックです。

例えば、「挨拶の声が大きくて素晴らしいね(肯定)。ただ、お皿を下げる時はもう少し静かに扱おうか(改善)。その笑顔はすごく良いから自信を持って(肯定)」というように伝えます。

人は「教えられた通り」には育ちませんが、「関わった通り」に育ちます。店長や先輩スタッフがどれだけ情熱を持って関わったかが、スタッフの成長スピードに直結することを忘れないでください。

アルバイトミーティングの定期開催

アルバイトミーティングの定期開催

日々の営業の中で感じた問題や疑問については、アルバイトスタッフも疑問に感じていることがあります。それを放置することがスキルアップの阻害要因になるだけでなく、人間関係が悪くなることにもつながります。そこで、定期的にアルバイトミーティングを行うことで意見を拾っていき、風通しのよい関係を築きましょう。

アルバイトに関しては、みずから提案をするというのは難しいため、事前に個別に意見を聞いたり、ミーティング中に発言の機会を与えたりといった工夫が大切です。みんなでひとつの店を作っていくという意識を持たせたる場にしましょう。また、オペレーションの改善について意見を聞くのもよいでしょう。

アルバイトミーティングは全員参加が基本です。みんなの集まりやすい土曜日や日曜日の昼間に設定し、1カ月前くらいに告知をするようにします。

店長によるアルバイトの評価はやる気に直結する

アルバイトと一口に言っても、いろいろな条件の人がいます。学生で小遣い稼ぎ程度のスタッフもいれば、一人暮らしで生活費を稼がなければならないフリーターもいます。仕事を掛け持ちでやっているスタッフもいれば、店に愛着を持ち、高い意識で仕事をしているアルバイトもいるでしょう。

店長の職務は、いろいろな条件の中で仕事をしているアルバイト一人ひとりをしっかり観察し、正しく評価することです。店長の評価はモチベーションに直結し、アルバイトがやりがいを持って働けるかどうかを左右します。それぞれの背景を考えながら適切な課題を与え、正しい評価をしていきましょう。課題も与えず評価もしない状態が続くと、アルバイトの不満がたまり、最悪退職となってしまうので注意が必要です。

日々のコミュニケーションと信頼関係

評価制度やミーティングは重要ですが、それらはあくまで「点」の機会です。店長にとって最も大切なのは、日々の営業の中で行われる「線」のコミュニケーションです。

これを防ぐためには、業務連絡だけでなく、何気ない会話を大切にすることです。「今日は顔色が悪いけど大丈夫?」「この前の接客、すごく良かったよ」といった些細な声掛けが、「自分のことを見てくれている」という安心感(心理的安全性)を生み出します。

スタッフがミスをした際も、ただ叱るのではなく、普段からの信頼関係があれば、「期待されているからの指導だ」と前向きに捉えてもらえるようになります。

ES(従業員満足度)なくしてCS(顧客満足度)なし

最後に、人事管理の究極の目的について触れておきます。それは「ES(従業員満足度)の向上が、CS(顧客満足度)の向上につながる」という好循環を作ることです。

イヤイヤ働いているスタッフが、お客様に最高の笑顔を提供できるでしょうか?答えはNOです。

店長一人でできる接客には限界がありますが、やる気に満ちたスタッフがチームになれば、その力は無限大です。 人事管理とは、単にシフトを埋めたり作業を教えたりすることではありません。スタッフ一人ひとりの人生の一部に関わり、共に成長する喜びを分かち合うことです。

「あなたが店長でよかった」とスタッフに言われるような関係性を築くことができれば、必ずその店は繁盛店へと成長していくはずです。ぜひ、人を育てることを楽しみながら、愛されるお店作りを目指してください。